Live Report

LIVE ACT TULIP 2002-3 You are in the world

照和 (2002/7/7)

紆余曲折があったオークション。
幸福にもチケットを落札できた私は、20代の私がその場にいて良いのか悩みつつもその聖地ともいわれるライブハウスを訪れたのでした。

8月に発売される「ZAITSU Songs~CINEMATIC~」(かなり良いです、絶対買いです)が流れる小さな会場、狭い場所に観客30名+スタッフ(取材クルー含む)いっぱい、クーラーを全開にしているようですが会場内はめちゃくちゃ暑いです。

17時00分、小さなステージに横に背広のメガネのお兄さんが登場。
前説(KBCの近藤さん):注意事項などの説明
「前に駆け寄るなどの行為は他のお客様の迷惑になります・・・」というアナウンスに一同爆笑。
あの狭さで駆け寄るのが危ない事ぐらいわかりますって(というか、駆け寄れないでしょ)。
3分ほどにしてやっとメンバーが登場。
さぁ、記念すべき30周年コンサートの始まりです

ここで恒例の「さっちゃんの財津和夫衣装チェック!!」です。
本日の財津さんは、茶色のシャツに、黒のパンツ黒い靴というというソロでも見たような・・・という衣装でした。
MC:ご挨拶など
安部:できるなら夏が良い。夢がある街、TULIPのホームタウンへようこそいらっしゃいました
安部さんの第1声に、福岡はTULIPの故郷であることを再確認。
M1:愛は不思議なもの
M2:悲しみはいつも
M3:僕は陽気なのんきもの
M4:笑顔をみせて
M5:新しい地球をつくれ
この5曲はメドレー形式でした。
組曲のM1~M4が聞けるというのはかなり貴重なのでは?
さすがは照和でのライブです
MC:今日はMCが多いぞ&僕たちは幸せだ
安部:今日の場合は特別なので、一曲終わったらレコードをターンテーブルからはずしてジャケットにしまって、次のレコードを出してそれをターンテーブルにのっけてかける。そのくらいの時間、懐かしい話や、無駄話をしてみながら進行していきたいと思います。
この一言に今日のライブは爆笑の連続であることを予感しました。
安部:このライブの一週間くらい前に不思議な感覚にとらわれました。ここ(照和)の地下の控え室で20才の僕がうたた寝をしていて、22才のこの人(財津さん)が『寝てないで練習するよ』と言って、世界に財津和夫しか知らない魔法の黄色い靴をリハーサルを始める。そしてその後月日は流れ福岡のTULIPで終わってしまって、仕事を探して、普通の人生を生きるというすごくやるせないイメージを持ったりしたりした。でも実際は僕たちは、ロサンゼルスやアビーロードでレコーディングをしたり、ビートルズのメンバーに会ったり、30年後も全国ツアーがやれる。当時の僕たちにしてみれば、ホント夢のような話で、夢のような事が現実に起こっていると言うことは、何とも幸せなことで、神様に感謝をするしかないなと思っていたりするわけです。
応援しているアーティストが30年も活動を続けてくれる。
ファンも幸せ者なのです。
M6:ぼくのお話
実はこのライブを落札してからTULIPの初期の曲を予習していた私。
予習していて良かったぁと実感。
MC:今日のライブは宮城さんのおかげ
安部:今日のライブの口火を切ったのは、博多出身ではない宮城伸一郎でした。前回のライブの時、福岡で追加公演ができたのは彼のおかげですし、今日のライブも彼がいなくては実現できませんでした。
そんな安部さんの紹介で宮城さんへMCがスイッチします。
宮城:鈴蘭高原か、照和かどちらかだやりたいと思っていて、鈴蘭高原がむちゃくちゃやりたかったんですけど、あの伝説はみんなの心の中においておこうかなぁという気持ちがあったし、こっち(照和)の方が現実的だったので・・・今日実現できてめちゃくちゃ嬉しい!
TULIPのメンバーの中で一番ファンよりな人、宮城さんの嬉しさが伝わってきます。
本当は曲紹介もする予定だったようですが忘れてしまったようです。
そんな宮城さんに財津さんが・・・
財津:ばぁ~か
とまるで子供がからかうような一言を放ち、一同は爆笑。
この場を納めるべく安部さんの口から発せられた言葉は・・・
安部:タワシハトリコ
私はしっかりツボにはまりました。
M7:私は小鳥
財津ソロとTULIPでは同じ曲でも違うように聞こえるから不思議です。
MC:姫野さんの思い出話
安部:僕らのアマチュア時代オリジナル曲は『魔法の黄色い靴』ぐらいでした。あとはほとんど外国の曲、ビートルズの曲をコピーしたりなんかしていたんですけれども。今日はビートルズの曲をやろうと思うんですけれども、その曲について姫野達也にちょっと一言・・・
MCが安部さんから姫野さんへスイッチします。
姫野:1976年に心の旅がヒットして、そのご褒美でロンドンにレコーディングに連れて行っていただきました。次の年、またロンドンを訪れる機会がありまして、そのとき(前年)お世話になったエンジニアにお礼を言いに行ったら、偶然ポールがレコーディングをしてました。是非見ていけばと言われて、背中を押されるようにスタジオに入ったらポールが気づいて、みんな優しく迎えてくれました。キーボードをやっていると言ったら、なんかやって見ろと言われて弾いてみたら、ポールがベースを合わせてくれたという思い出の曲をここでやらせてください。
このMCかなり要約しています。姫野さんのしゃべりが長すぎて安部さんや財津さんから茶々が入ること入ること・・・大笑いできました。
M8:レディマドンナ
いやぁ、まさかこの曲が聞けるとは・・・って姫野さんのソロで聴いたっけ?
でも、これまたソロとTULIPでは趣が違うのでした。
MC:上田さんの山笠話
安部:博多は今全国でも人が一番集まるという山笠の真っ最中でありまして、山笠と言えば我々のグループではこの人をおいて他にいないという・・・
という紹介でMCを上田さんへスイッチ。
上田:7月7日にここが決まったとき、嬉しい反面、困ったなぁと思いました。僕がこの前帰ってきた時、家の中にいてスティックを持ってちょっと練習していたら「ちょっと雅利手伝って」とか言って、参加した子供にあげるお菓子の詰め合わせがあるんですが、(その詰め合わせ作りの作業に)没頭して1時間くらいとられたかなぁ。こっちの仕事をお構いなしに博多時間で進んでいくのが頼もしくもあり、邪魔でもあり・・・板挟みの毎日です。
照和ライブの練習も気になるけど、山笠の仕事をしてしまう上田さん、これこそ博多の男でしょうか。
M9:博多っ子純情
ここ博多で曲は欠かせませんよね、う~ん良い歌だ。
MC:ギターお話&作詞は辛い
安部:今日がこのギターのデビュー戦です。
と言って新品のレスポールを掲げてみせると観客から「お~!」と言う声があがりました。
安部:(傍らに置いてある)335は東京に行って次の年に、六本木のクラブで弾いていたイギリスのバンドの人が急に帰国しなきゃいけない、でも帰国資金がなくギターを売りたい、ということだったので見に行ったら、あまりにきれいな楽器なので買ってしまったんですけれども・・・。この人(335のこと)もここに来るのが初めてなんですよ。(335とつきあっている)僕の出発点と言うことで(335が)物思いにふけっているかもしれませんけれども。
335を「この人」と言ってしまう安部さん、ギターへの深い愛情が感じられます。
安部:ビートルズみたいにかっこいいオリジナルを作らないと、ビートルズみたいに格好良くなれないということに気づいてオリジナルを作ることをはじめたんですけれども。詩を書くことになったんですけれども、ずっとチューリップでやってきて、レコーディングの最中、詩ができなくて私ずっと辛かった。その第一曲目の曲です。
皆さんの夢を壊すかも・・・と言いながら作詞の辛さをカミングアウトした安部さんでした。
M10:千鳥橋渋滞
これもまた福岡にぴったりの曲。
安部さんが苦悩して作詞をした作品。
MC:東京の合宿所
安部:魔法の黄色い靴のB面はご存じだと思うんですけれども、B面の曲は東京の合宿所で・・・(南青山というつっこみが入る)それを思い出そうとしたのよ。何故南青山に合宿していたかというと、お前達田舎者だからあの辺であか抜けろということだったんですが、いまだに田舎者のままなんですけども。
ここで財津さんに準備ができたかと尋ねると「OK」と言う返事。
さぁ、次の曲を演奏するかと思ったら・・・。
安部:全然OKじゃなかった。
安部さん、なんと自分のギターチェンジを忘れていました(笑)。
M11:ハーモニー
おなじみのナンバーです。
過去2回の再結成でも演奏済み。この曲は欠かせないのかな?
MC:第1部終了のご挨拶
財津:今日はですね、1幕と2幕に分かれておりましてですね、あとで緞帳が降りてくる(笑)。ここで休憩というか、みなさんしっかり汗で出たとは思うんですけども、トイレに行っていただいても構いません。10分から15分くらいとってみたいと思います。その前に・・・
ここでプレゼントの抽選。
2部構成ということで、ここで一時メンバーが退場します。
~休憩(10分)~
再びメンバー登場で第2部スタート
ここで2回目の「さっちゃんの財津和夫衣装チェック!!」です。
なんと、ものすごい暑さの中で長袖シャツを着ていた財津さんは耐えきれず(?)第2部では上半身だけ衣装替えをしてきたのでした。2回目の財津さんは、黒のポロシャツに、黒のパンツ黒い靴という全身黒づくし、でもこのポロシャツって私服なんじゃない?という衣装でした。

ちなみに、財津さんと同様に私服と思われるものに衣装替えした上田さん。
赤のTシャツに短めのジャケットという若者っぽい格好なのに全然違和感がなくすごいなぁと感心してしまいました。

姫野さんがなかなか出てこなくて、先にステージに出ていた財津さんが会場に「ZAITSU Songs~CINEMATIC~」がかかっていたことに気づき、
「こんながBGMが流れていたとは」
と言って、姫野さんが出てくるまでちょこっと「I Love You」を弾き語りしてくれました。
MC:第2部スタート
財津:ものすごい久しぶりだからみなさん一緒に歌っていただけると、その声で間違っているところがわからなくなると思います。
久しぶりって、どんな曲だろう・・・と期待。
M12:娘が嫁ぐ朝
ステージで聞いたのは初めてのこの曲、これもめちゃめちゃ良いです。
父親を亡くした私はちょっとセンチメンタルになっちゃいました。
MC:手拍子が肝心です
安部:次にやる曲は手拍子がすごい肝心でありまして、手拍子がないとちょっと違うなぁと。
手拍子が肝心な曲ってもしかして・・・。
M13:We Can Fly
今回のライブの目玉の一つはなんと言ってもこの曲。
手拍子をちゃんと適切に入れられる観客、さすがTULIPを熟知していらっしゃる。
MC:ある日下がる?
安部:この曲を出した頃はプロモーションビデオなんて世の中に登場してなかったんですけど、今作るとしたら皆さんに出演してもらわないとね。次の曲は・・・。
ここでキーボードに移動した財津さんが親父ギャグを・・・
財津:僕らの後半のヒット曲のようにね、ある日下がる
会場は大うけ、そのまま姫野さんがカウントを始めようとすると、財津さんあわてて
財津:ちょっと待って!
さらに会場は大うけ。
この時、安部さんのギターが姫野さんのギター接触してしまい音調節を。
その間、財津さんのMCが続きます。
財津:我慢できなくなってしまうんですよね。寡黙(カモク=火木)な男だと思われているふしがあるんですけど、僕は水金な男なんです。
1部はMCを安部さんにまかせ寡黙を続けていた財津さんですが、我慢の限界なのか親父ギャグが炸裂します。
M14:ある昼下がり
アハッ、この曲聞いたことが・・・ついこの前の姫野さんのコンサートで。
(今回、このパターン結構多いです)
MC:安部さん大弱り?
安部:今日のメニューの中で次の曲さえなきゃ私ホントに楽しめるんですけど。私は固辞したんですけど隣にいる男(姫野さん)が僕がギター弾いてからと言いまして。
えっ!もしや安部さん・・・。
M15:夏に別れを
今回のライブの大目玉はなんと言ってもこれ!
安部さんうたってるぅ~!!!
ツアーで歌う確率が少ないだけに、ものすごく貴重です。
MC:本日のスペシャルタイム
財津:ここで、今日のスペシャルタイムと言うべき時間帯に突入したいと思います。今日来ていらっしゃる皆さんの中に今日入籍される方がいらっしゃいます。
一番後ろの席に座っておられたカップルの方がそのようで、朝に入籍されたとか。
財津:お二人に、僕らも歌うんですけど、28人の方で一緒にお祝いしようと・・・。
客席に歌詞カードが配られます。
お二人を立たせて、メンバー+客席28名+新郎(?)の方で歌います。
M16:僕のお嫁さん(合唱)
結婚式をせずに入籍だけというこのお二人、式がなくともこの照和で忘れられない日になったのではないでしょうか、末永くお幸せに。
M17:ぼくがつくった愛のうた
スイートつながりですね。新婚さんにぴったりな曲です。
MC:宮城さんとTULIPの出会い
宮城:最初にTULIPを見たのが高校生の時で、秋田にいた頃、町の体育館にTULIPがやってきました。そのとき、初めて生TULIP「生チュウ」を、「生中」飲みたいね(笑)。安部さんのギター格好良かったですけどね。その後、TULIP好きになって、最初に僕が手にしたレコードが、僕の友達が先にプロデビューしていて見本版を持ってましてそれを聞いてすごく気に入って「くれ!」ともらいました。再結成のきっかけにもなった曲なんじゃないかなぁと、今日はそんな新鮮な気持ちで聞いてください。
M18:サボテンの花
汗をダラダラかきながら暑~い場所で聞くこの曲もなかなか風流でした。
MC:ありがとうございます。
安部:今日のこの集まりも時間がせまってきたりしていますけど、今年の9月からまたツアーをやることに決まりまして、皆さんに来ていただけるのがすごく幸せなことと思っています。ここでやっていた頃は仲間がプロになって、でも途中で音楽の生活できないでやめていったヤツなんかがたくさんいまして、そういった人たちに申し訳ないなぁと、幸せを独り占めしているようなTULIPでありますけれども、9月からまた元気にライブツアーで皆さんの街のいつもの会館で元気に演奏したいと思っています。とりあえず今日はありがとうございました。
音楽を続けてこれ、こうやってツアーができる幸せをかみしめている安部さんのコメント。
9月からのコンサートツアーも楽しみにしていますよ。
M19:青春の影
姫野さんがギターを担当するというすごくレアなバージョンの青春の影です。
この曲を歌うということは、もうすぐこのライブもおしまい?
M20:心の旅
一応、この曲が通常演奏の最後の曲ということのようです。
ここからアンコール
普通はいったんステージを下がったりするのですが、そのままアンコールに突入です。
MC:ギャグ再び?
財津:(姫野さんに向かって)乗ってるね、ヤマハメイトだね
ここで古いというつっこみが、もしかしてこれもギャグ?
財津:じゃあ、こんな感じで行ってみようかな。上田君(次の)曲、知っているよね?
M21:Route 134
M22:早くおいで
M21~M22のつながりをどこかで見たような、聞いたような・・・。
MC:トコトン・・・
財津:こうなったらトコトン、決めたとおりにやるゾ(笑)。これも皆さん一緒に大きな声で歌ってくれると良いかもしれない。
座っていたイスをかたづけます。
財津:これからはダンシングタイムになります。
M23:夢中さ君に
ダンジングタイムと銘打たれたこの曲、観客もステージもノリまくりです。
MC:盛り上がってるねぇ
財津:いいねぇ、一緒に歌うといいねぇ。盛り上がった、盛り上がった。もういっちょ盛り上がって行こうかな。
M24:魔法の黄色い靴
メンバーと観客で熱さを吹き飛ばすように大合唱。
よけい会場の温度があがった?
MC:七夕です
財津:今日は七夕、彦星と織り姫は15光年離れているらしいですね。もしTV電話で『おーい』と言って向こうからまた戻ってくると、15光年と15光年だから(往復で)30年、今日は30年のねぇ。ホントにお会いできて光栄です。ホントに感謝しています。どうもありがとうございました。
彦星(アルタイル)と織り姫(ベガ)が15光年離れているなんて知らなかった・・・。
それにしても偶然とはいえ、「30年」とはすごい。
M25:あの娘は魔法使い
そしてこの曲。
会場は最高潮の盛り上がり。
MC:メンバーのリクエスト
財津:もう一曲いこう!!今度は君のリクエスト
各メンバーにやりたい曲を聞きます。
宮城:オレンジの花火
上田:はしれムーン号
姫野:夏の思い出(『夏色の思い出』の間違い)
安部:さよならのプレゼント
財津:オレはウェイク・アップ!
M26:銀の指環
何の曲を演奏するの??とフェイントをかけられてのこの曲、ちょっとずっこけました(笑)。
もう終わりなの?
と短く感じた2時間30分の記念ライブ、締めくくりは姫野さんのこのナンバー。
姫野さんいつも通り(?)飛んでいらっしゃいました(笑)。
寄付金贈呈式にて終了

会場のクーラーを最大限にきかせても全くきかず、ちょっとしたサウナ状態でメンバー、観客、スタッフともに汗ダクダクでしたが、それでも終始笑いの絶えないアットホームな、それでいて少人数と思えないくらい大盛り上がりのライブでした。
若い私なりに迷いを抱えつつこのライブを迎えましたが、最後は「本当に行って良かった」、私の迷いなどちっぽけなものだったと、思いました。
TULIPの音楽には年代も関係なければ、ファン歴も関係ない。
9月からのライブ、前より少しだけ胸を張って聞くことができそうです。

以上、照和での30周年記念ライブのレポートを終了します